1966年にスイスで発売されたTHORENS社製純正プレイヤの完全レストアセットです。
TD124Mk.Ⅱは保存状態の良いものをフルレストアして初期性能にまで復帰させています。
モータの回転精度、トルク、ゴロ、振動、発熱などはかなり高い水準にまでチューンアップしており、TD124Mk.Ⅱにありがちな回転動作音も静かです。 アッパープラッタの曲がりや歪もなく、シャシ塗装もオリジナルのままを磨き上げてあります。
TP14アームはEMTアームの原型となったダイナミックバランス型で、ベアリングやアームリフタなど点検調整済で、ベアリング周りもクリーニング調整したことにより得られる回転感度の高さにより音質もかなり向上しています。 また専用ヘッドシェルのスペアも一個付属します。 このシェルは最近話題のVTA（Vertical
tracking Angle）角度を簡単に可変でるので、70年代以降のLPも快適な再生環境で楽しめます。 アームの音質の良さも明白に感じ取れる再生音になりました。
アームリフト機能も完全に動作します。
今回スイスTHORENS社製純正キャビネットの状態の良いものが入荷しましたので、それに取り付けてあります。 アクリル製キャノピが付いており、独特の取り付け法により再生中にキャノピを下しても再生音に影響しないスグレモノです。
その音はMk.Ⅱ特有の明確さを保ちながら、しなやかさを存分に表現してくれます。
クラシックを再生すれば弦のゆたかな倍音と音の伸び、それに濃やかなる色合いは
数あるMk.Ⅱの中でも出色のものであります。
オーケストラの弦群はほぐれて空気を梳くように震わせて響かせます。
ピアノは低音が濁らずに雄弁に伸びています。
ジャズ再生となると、熱っぽさを存分に出してくれるし、
アルトサックスは音切れが良いので滲まずに再生されますからテナーサックスにはなりません。
今回Mk.Ⅱが,こうした音質を醸し出したのはキャビネットも一役買っているのです。
このキャビネットはMk.Ⅱ発売時（1965年）にスイスTHORENS社が同時に販売したオリジナルキャビネットなのです。最後の写真の白いナイロン足がオリジナルである証拠です。
材質はチップボードに突板を張ったものです。
我国ではチップボードと聞くと建築の床材や家具の構造材に使用されたりするので安物と思われがちですが、これはヨーロッパでオーディオ用に使われた音響用のチップボードであり、
例えば英ワーフェデル社のエンクロージャにはこの材質を使用したものが多くみられます。
ハードプレスのチップボードは内部に適度な空気孔があり、
それが人工材にありがちな不自然な共振の発生を防いでいます。
このキャビネットは兎に角ゆたかに自然に響く再生音を助けるのが一番の長所であり、
Mk.Ⅱというプレイヤが時として出す峻烈な音を音楽的表現に導くという反応力を生み出しており、
見かけは平凡ですが、そうそうはない良質なキャビネットです。
もちろんキャビネットがいくら良いものでも、TD124がちゃんとレストアされてはじめて活きることです
。
今回はは、SHURE M44-7とそしてGREY オリジナルフォノイクォライザ + オリジナル小型プリメインアンプ＋LOWTHER AUDIOVECTOR（初期PM4入り）の組み合わせでの試聴でした。
アナログ再生の面白さをたっぷり味わいました。
