先週のグリス事件もようやく片付いた所にまた、問題の発生である。
アイドラーがスリップレトルクが出なくなったのである。
しかし、トーレンス124のレストアの納品がありすぐには作業にとりかかる事はできない。
124型の調整にくらべるとレコカットのそれは純然たるワークである。
どちらかというと工作機器のメンテナンスに近いものなのでそれなりの準備が必要なのである。
しかし、どうにか124型の出荷もひと段落ついたので再び調整にとりかかったわけであるが、まずターンテーブル(124型はプラッターの感があるが)レコカットはどちらかというとその大きさ故、ターンテーブルと呼ぶのがぴったりであろう。
ターンテーブルをはずして中をみると通常使用する33回転側のアイドラーにオイルが付いておりこれがスリップの原因とわかった。
問題はなぜここにオイルがついているかなのだが、レコカットの場合アイドラーシャフトの中身は空洞でありグリースをつめる様になっている。ちなみに直径は11.7mmもある。
このグリースはアイドラーシャフトの外側に塗ってあり、必要以上のトルクがかかると溶けてオイル状になりアイドラーシャフト上部にふきだしてくる。
このレコカットの二つのアイドラー78回転と33回転用は電源OFFにはターンテーブルには接触せず空転するようになっているが、調べてみると電源OFFでターンテーブルに当っていたのである。
おそらく50年以上放置されていたわけであるから、使用時間による変化は当然である。アイドラー保持金具をゆるめ、木ハンマーによる調整である。
このアイドラーの調整には78回転を使用しないのでまったくフリーにしても良いのであるが、それではアイドラーが2個ついてる意味があいので78回転側も再調整である。
さらにモーターシャフト側の調整も行い、ターンテーブルをのせクイックスタートのテストをする。
完全にグリップを取り戻した。
ヒアリング・テストを行ったレコードは店でのテスト用である日本盤のジョニーハートマンのボーカルである。
トーレンス124型+オルトフォンアーム・SPU.Gではハートマンがややうらのある、それでいて一流のエンターテイナーとしても充分に魅力的な男として目前に立つのであるが、レコカット・デンオンDL103で聞くハートマンは長いす寝そべりながら酒を飲みつつ歌っている様なひたすらにグータラな男として聞こえてくるのである。
しかし、音の間々の広い音と音の間になにものもなく、潮通しのよいのびのびとした無責任ともとれる再生音は海辺に育った私には非常に気持ちよく響くのである。



<BACK>



レコカットの再調整日記