前項ではこの中期型Mk.2のレストア方法とその音質の変化について述べましたが、ここではMk.2に採用された
アルミ・プラッターとモーターとの関係を書いてみる事にします。
Mk.2のアルミプラッターはMk.1の鉄製プラッターとはその構造上の設計を異にしていますが、これによりモーター側から見ればMk.1とはまた違った役割をはたさなければならなくなりました。 それはMk.1の場合、メインプラッターの重量が回転力と抵抗力の働きを同時にマッチングさせ、いったん回りだしたらきわめて安定した回転を得る事ができたのですが、Mk.2にはそれがメインプラッターの軽量化により期待できなくなりました。 
これが何を意味するのかと言うとMk.2のアルミプラッターを搭載したモデルのモーターは常に働いていなければならないという事です。 では、Mk.1の場合は働いていないのかと問われれば、極論的比喩で言えばその通りと言わざるを得ないのです。 この見地から言えばMk.1のモーターは初速回転を負荷時のみにしか働かず、回転中は回転速度をコントロールする方向にモーターが働いていると考えられるのです。 その為5kgのメインプラッターが必要であり、定速回転中のMk.1は高速道路を走るためのオーバードライブで走行していると推測されます。 この様なモーターとプラッターの関係がMk.2では得にくくなります。 プラッターの軽量化により本体が正確にコントロールしなければならなく、オートドライブを使ったサルーン走行から軽い足回りをもつ高回転エンジンで走行するGT車の様なものであると言えます。 モーターの回転の正確さがそのままメインプラッターの回転の性質、性能に直結するのです。 そのためには動力伝達ミッション部はできるだけ軽量化しモーターエネルギーの損失をさけねばなりません。
Mk.2においてはプーリー、ステッププーリー等は材質や厚み等に専用部品のおもむきが感じられるのです。
結論としてMk.2にはMk.2用のレストア術がMk.2のもつ潜在的な能力を高める事ができ、ややMk.1に比べてデザイン
構造上ひ弱を感ぜられるMk.2が、したたかな能力を秘めているのを実感する事ができました。
普通に動作させるのはかんたんですが、それを音楽的な立場から思考するとレストアにおいてはなかなか深いものである可能性大であります。



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TD124 Mk.2中期型のレストアにおける音質への関与とメカニズム