きわめて初期型のモデルにおいて、かなり手のこんだ重厚な作りになっています。
構造自体はメタルと同様なのですが、 製造されてからかなりの年月が経っているため、ほとんどすべてが変形してしまっています。 レストアの場合はメタルスピンドル軸受け以上の念入りな研磨とチューニングが必要です。 
現状品では、その性能を発揮させるのはほとんど不可能だと考えます。 もしスピンドル軸受け内部の研磨が不完全なら
回転時のオイルの上昇が不能となり、電源スイッチOFF時の回転のなめらかさが得られないばかりか、その抵抗により回転ムラの一因となり、モーター、プーリー等にランダムな負荷がかかりストロボが微妙にふらつく現象が起こり、再生音に影響を及ぼします。 
このタイプのものはスピンドル軸受け底部のメタルカバー、パッキンの構造が、最初期型に限ってプラッター重量への対応が異なっており、スピンドル自体はこの最初期型以外は通常のメタルタイプと共通です。 最初期はプロトタイプに近いもので、まずベアリングが固定ではなく着脱タイプになります。 次にパッキンが凸形をしており、この凸部が厚くできていて、
この部分でクッション材としての働きを与えて負荷に対しての軽減をはかっています。 このパッキンのメタルカバーに
当る所は平面です。メタルカバーはパッキンが重量を受ける形になっているため、フラットかつ厚く作られておりプラッターの重量をしっかり受け止める構造になっています。

音質について
中央がへこんだメタルカバータイプのものがあくまで自然でなめらかな空間に調和しながらハーモニクスをよい意味で
演出するとしたら、この最初期型は豪放で骨太な音の存在感が明確に表現されます。 それはオケ等において前者が
チェロの高音域とビオラの低域のオクターブハーモニーにおいて大変すぐれた表現力をもつのに対し、後者はチェロの
低音域とコントラバスの高低とのハーモニクスの表現にすぐれています。 これはメタルカバーが凹形が重量を逃がす
働きがあるのに対して、重量をうけとめるタイプである最初期フラット型はキックバック(音)も全面に受け取っているためです。 それぞれの時代によって異なる録音再生、両面の様式においてのベストと思われたものをトーレンス社が考えたのでしょう。



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プラスチックスピンドルの場合